●ある秘密
一人っ子で病弱なぼく(著者)は、想像の兄を作って自分の庇護者とし、支えにしていたが、ある日本当に兄が存在していたことを知り、両親の秘密を知ることになった。
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この話の根幹をなすものは、ナチスが行った虐殺という歴史的な背景があるのだが、著者が本当に書きたかったことはそういった行為の悲惨さというよりも(もちろんそれが書きたかったということももちろんあるだろうと思うのだが)、著者の両親の秘密、二人が背負わなければならなくなった罪悪のほうなのではないかなあと思う。
詳しいことを書くのはネタばれになってしまうのだが、本来であればもっと小さな事件になっただろうのに、過酷な運命のせいでそうなってしまったのは何とも悲しい。
非常に抑えた、理性的な筆致で、淡々としていながらも緊張感があり、次はどうなるのか、両親の秘密とは何なのか、というのを知りたくてついついページをめくってしまい、あっという間に読んでしまった。読むのが早い人であれば、一日でも読めてしまうのではないかと思う。
その理性的な語り口調のおかげで感情的ではないぶん、ただ悲しさ、そして透明な美しさのようなものが全体的に感じられる。
この本は高校生が選ぶゴンクール賞に選ばれたということだが、フランスの高校生の本の目利きはなかなかなのではないか・・・と思った。