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2006年12月30日

●ファッジ・カップケーキは怒っている


 義弟ビルが保安官選挙に出馬することになった。そんな中、現在作成中のレイク・エデン料理本に載せるファッジ・カップケーキ(材料がひとつだけ謎のものがある)を試作しているときに、現保安官のグラントが殺害された。恋人候補でもある刑事部長のマイクはビルを第一容疑者にしたのだった。義弟を容疑者にされてはたまらないと、ハンナは調査を始めるのだったが・・・。
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 お菓子探偵ハンナのシリーズ第5弾である。シリーズも5作目までくると、キャラクターの性格もお約束も分かりきっているので、安定した楽しみがある。今回も、殺害されるグラント保安官はハンナが試作したファッジ・カップケーキを食べながら死亡し、かつそれをハンナが発見するのである。
 グラント保安官殺害事件は、まさかあの人が!というどんでん返しがあるわけでもなく、あ、なるほど・・・という感じなのであるが、このシリーズの魅力はハンナを取り巻く周辺である。今回は、非常に大きな動きがある。それは、恋人候補であるマイクに強力なライバルが出現する。ブロンドの抜群なスタイルの美人で、彼女とマイクが関わるたびにハンナはやきもきすることになるのだが、そもそもハンナはマイクとノーマンのどちらを恋人にするのかすら決めていないし、今巻でもその答えは出ていないのだが、いずれ決断するときがくるのかなぁと思う。
 今回掲載されているレシピで、私でも作れそうだなぁというのは、「ホールインワン」という食パンを使った簡単な料理である。
1.フライパンに油をひく
2.食パンの表と裏にバターを塗り、フライパンにおく
3.ジュースグラスなどで食パンの真ん中に穴をあける(抜き取った部分もフライパンにおく)
4.フライパンを中火にかけ、焼けるまで待つ
5.抜き取った穴の部分に卵を割りいれる
6.卵が焼けたら食パンをひっくり返す
 食パンと卵ならいつでもあるし、お手軽にできそうだなぁ・・・これやってみようかな・・・と思っている。卵が割れることなくきれいに食パンの穴の中に入ったら見た目が楽しそうだなと思う。
 この作品でハンナが謎の材料を探して奮闘して作ったファッジ・カップケーキの作り方も載っており、読んでいるだけでお菓子が食べたくなる一冊である。

2006年12月29日

●レモンメレンゲ・パイが隠している


 ハンナとノーマンが設計した家はコンテストで賞をとり、ノーマンは土地を買い取って実際に家を設計し始めた。だが、土地所有者は取り壊す前の家で死亡していた。そしてキッチンにはハンナ自慢のレモンメレンゲ・パイがあった・・・。
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 お菓子探偵ハンナのシリーズ第4弾である。今回は毎回のお約束がちょっと崩され、死体の第一発見者は母親のドロレスとなっている。だが、ハンナのレモンメレンゲ・パイを食べて死んだということになっている。
 面白いのは、今回は事件の調査はしまいと決意するハンナに対して、周囲は調査するものと勝手に決めており(保安官事務所ではハンナが調査するかどうかの賭けすら行われていた)、渋々調査することになるということである。いつもはハンナが調査することに対して嫌な顔をする恋人候補で保安官助手のマイクですら、今回は嫌な顔をしないところが面白いなあと思った。
 ミステリーとしてはやはり普通(というより読んでいるとこの人かなとなんとなく想像できてしまう)なのだが、恋人候補ノーマンとマイクとどちらを選ぶのか?という問題があったり(今巻ではまだ二人との関係を楽しんでいる感じ)、ハンナは父親似、妹のアンドリアは母親似、末妹のミシェルは外見が母親で中身が父親似というふうに個性があって面白いハンナたち姉妹とか、冬は極寒なのに夏もやはり暑いミネソタ州の環境であるとか、周辺の環境が楽しんで読めるものになっている。毎回どのシリーズでも何かしらのイベント(今巻では独立記念日)が行われているところもすごいなぁと思う。
 次はどんなお菓子が登場するのか楽しみである。

2006年12月28日

●ブルーベリー・マフィンは復讐する


 レイク・エデンに人気料理研究家のコニー・マックのお店が開店し、本人が宣伝のためにやってくるというので、町は浮き立っていた。だが、コニー自身は有名であることを鼻にかけた人物で、ハンナは気に入らなかったが事故により厨房を一晩貸すことになった。だが、そこでコニー・マックは殺されていた。
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 お菓子探偵ハンナのシリーズ第3弾である。このシリーズではハンナのお菓子を食べながら誰かが死に、さらにそれをハンナが発見することがお約束のようで、今回はコニー・マックという被害者がハンナの作ったブルーベリー・マフィンを食べながら死んでいる(発見者もハンナである)。それにしても殺人のよく起こる町だと思ってしまうが、ハンナと妹アンドリアのやりとりの楽しさや、おしゃまな姪のトレイシーや、いまだにビキニが似合ってしまう母親ドロレスなど、魅力的な登場人物が登場するので楽しく読めてしまう。
 ミス・リーディングはあるが、途中で「この人が犯人かな?」と分かってしまう。しかしこの作品の面白さはそういうところにはないと思っているので、このままレイク・エデンという田舎町の暖かなところを感じさせてくれるシリーズであってほしいなと思っている。
 このシリーズには必ずクッキーや焼き菓子のレシピが載っているが、今回はお菓子ではないレシピが載っている。グリルド・クリームチーズ・サンドイッチというものだが、
1.食パン2枚の片側にバターを塗る。
2.バターを塗った側を表にし、塗ってないほうに冷えたクリームチーズをはさむ。
3.バターを塗った面がきつね色になるまでフライパンで焼く(フライパンに油はひかない)。
 これだけのものなのだが、かなり美味しいらしい。試してみたいと思っているが、それにはクリームチーズを買わねばならないので、いまだにできていない。だがこれは簡単そうだしそのうちやってみたいなと思う。

2006年12月02日

●ストロベリー・ショートケーキが泣いている


 手作りデザートコンテスト開催地となったことで、小さな町レイク・エデンは賑わっていた。だが審査員に選ばれた高校教師のボイドが何者かに殺されてしまった。手元にはハンナの作ったストロベリー・ショートケーキが・・・。
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 お菓子探偵ハンナの第2弾である。このシリーズでは主人公のハンナが死体の第一発見者となるのがお約束のようで、今作でも第一発見者である。
 色々なミスリーディングなどあるものの、ミステリとしてはやはり普通で、そちらよりも私としてはハンナを取り巻く周辺の登場人物たちとのやりとりや、レイク・エデンに住む人々の情景などを読むのが楽しくて好きである。恋人候補のノーマンとマイクとの恋の鞘当もエピローグに書かれてあるし、続きが気になる。
 このシリーズは章の合間にお菓子のレシピが掲載されているのだが、グラムではなくカップで書かれているので、作りやすそうだなぁと思っている(我が家はオーブンが使えないため作ったことはないが)。だが、私はお菓子ではバターは室温に戻した柔らかいやつを使うものだと思っていたので、レシピの「バターをとかす」というところにびっくりした。溶かして大丈夫なのだろうか?と今も思っている。
 この巻から、クッキーではないお菓子のレシピも登場してきたので、自分が作れそうなものがあったら作ってみようかなと思っている。

2006年11月26日

●チョコチップ・クッキーは見ていた


 ハンナは小さい町レイク・エデンで世界一美味しいクッキーのお店を出している。そんな小さな町で殺人事件が発生した。妹の夫の昇進のかかった事件なので、ハンナも手伝って聞き込みをすることになったのだが・・・。
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 随分前から、表紙と、間に挿入されるお菓子のレシピが気になっていたのだが、購入してみた。「お菓子探偵ハンナ」のシリーズで、現在は7作目まで出ている。
 ハンナ自慢のクッキーをあげることで町の人はおしゃべりになってしまうのだが、ミステリとしてはごく普通で、妹アンドリアの夫ビル(レイク・エデンの保安官)がちょっと頼りなさすぎだなぁと思ったり、ちょっとハンナが頑張りすぎだなぁと思ったりした。だが、このシリーズで最も面白いところといえば主人公ハンナを含めた登場人物のキャラクターがいきいきとしているというところと、作中で描かれているクッキーが本当に美味しそうで、どうしても食べたくなるということである。
 読んでいてさくっとしたクッキーがどうしても食べたくなってしまったので、思わず購入してしまったほど、この作品に出てくるクッキーはどれもこれも美味しそうだし、甘いバターの香りが本から漂ってきそうな気がする。
 29歳になって恋人がいないハンナに殺人事件をきっかけにしてあらわれた恋人候補(複数)の恋のさやあてなど、ミステリ以外の部分が楽しめる。次も楽しみに読もうと思っている。

2006年11月18日

●六番目の小夜子


 ある進学校には、十数年間にわたり、奇妙な伝統が受け継がれていた。三年に一度「サヨコ」は選ばれ、誰にも知られずに学園祭の催し物を行うことが「よき印」とされてきた。そして六番目のサヨコが選ばれる年に、津村沙代子という美しい転校生がやってきた。
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 友人が随分以前に面白いよ、と言っていたので何となく購入してみた。
 読み終わってみて、ホラーとファンタジーのようなもので味付けされているが、高校生の若さと初々しさがあふれる青春小説だなあ、と思った。
 著者が最初に書いた小説というので、やや荒削りで、もう少し説明をしてほしいと思ったところはあるのだが、概ね楽しく読めた。津村沙代子とサヨコ伝説とのつながりと、津村沙代子の周辺の登場人物との関わりとで物語は進んでゆくのだが、「先入観」や「思い込み」などを巧みに使って津村沙代子が謎めいた神秘的な存在であるというふうに読者と登場人物に思わせるところが面白いなと思った。
 この作品のクライマックスにあたる部室長屋が火事になる場面で、津村の感情が太字になって描写されるのだが、そこは(著者の方が好きなのかはどうかわからないが)キングっぽいなと思った。しかしこれがキングならもっとホラー色が濃くなるのだろうかなと思う。
 不思議な話であるとは思うが、そういうものより高校時代の青春の輝きがこちらにも伝わってくる話だと思った。

2006年11月04日

●メイプル・ストリートの家


 死を間近にした祖父が孫に聞かせた時間についての短編「かわいい子馬」や、異次元につながっているかもしれない奇妙な街を描く「クラウチ・エンド」、意地悪な継父を追い払う表題作など、スティーブン・キングの短編集。
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 これを本屋で見かけたとき、あぁキングの本がでている、と思い、ぱらぱらっとめくってみたところで「読んだことないや」と思っていたのだが、冒頭に「いかしたバンドのいる街で」などからの短編集であると書いてあるのを見たとき、それなら読んだことがあるかもしれない・・・と思っていたのだが、やはり読んだことがあるな・・・と思った。しかしこれが単行本であったときには図書館で数年前に借りて読んだものなので、それなりに楽しむことができた。
 最も好きな話は「かわいい子馬」と表題作の「メイプル・ストリートの家」である。「怖い」というよりは、時間についての訓示的なことや意地悪な継父をどうにかするという話をキング流にするとこうなる、という感じで、非常に楽しく読めた。
 「十時の人々」は、前回読んだときと同じ失望を味わってしまった。このお話は、禁煙中の者だけが見ることのできるモンスターを武力と大勢でもって倒すという派手な話なのだが、私としては「クラウチ・エンド」のような「怖い現象はどうにもできないので、そういうものだとしてやり過ごす」であって欲しいと思って前回も読み、今回も読んでしまったので、何となく失望してしまった。そういう先入観さえなければ楽しめたのかもしれないが、私にとってはあまり好きではない短編である。

2006年10月15日

●レベッカのお買いもの日記〈3〉


 親友スーズの結婚式のときにルークからプロポーズされたレベッカ。有頂天になるが、ルークの生みの母親は売れっ子ウェディング・プランナーとともに豪華な結婚式を計画し、レベッカの母親はイギリスでアットホームな結婚式を計画していた。どちらも素晴らしくて選ぶことのできないレベッカ、さあどうする?
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 今回のレベッカは、いつもとは違って買い物をしすぎて借金で首がまわらなくなってにっちもさっちもいかなくなるというより、実家とルークの母親との板ばさみになり、どちらが計画している結婚式も選べなくなって日にちだけが過ぎていき、にっちもさっちもいかなくなるという話である。
 よくそこまで放っておくものだな、と読んでいて思ってしまうが、どちらも選べずに放っておいたおかげで、ルークと生みの母親(ルークの両親は幼いころに離婚し、ルークは父親に引き取られた)との葛藤があぶりだされることになったわけで、お話としてうまくできているなと思った。
 今回の話で新しく登場するダニー(ファッションデザイナーを目指している)とローレル(レベッカの顧客で、自家用ジェット機会社社長)のキャラクターが非常によかった。イギリスではすでに4巻目が出版されているそうだが、彼らもでてくるのかな、と思う。
 4巻は日本ではまだ出版されていないが、されたら読んでみたいと思う。

2006年09月18日

●レベッカのお買いもの日記〈2〉


 テレビの金融アドバイザーとして忙しい日々を送ることになったレベッカだが、恋人ルークの仕事の都合で一緒にニューヨークへ行くことに。はしゃいで買いものを楽しむレベッカだったが、自身の借金をゴシップ誌に暴露され、仕事も、恋人も危機的状況に陥ってしまったのだった。
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 前作の続編である。前作の借金はテレビの仕事で手にしたお金によって一気に清算された。今までよりも収入が増えたため、ここぞとばかりに買いものをしまくるレベッカを見て、いやいや、まずいから、誰かとめてあげないと、とつい突っ込みを入れたくなった。
 欲しいものをつい買ってしまうときのレベッカの思考は、かなり身勝手で先を見ていないので(これは投資だから使ってないのと一緒、とか、ドルなんてお金じゃないし、とか)、いやいや、違うから!と思うのだが、欲しいものを何としてでも買いたいときは、誰でもこんなものなのかもしれないなぁ、と思った。
 それでも、ゴシップ誌に自身の借金地獄を暴露され、恋人ルークの会社が大変なことになったときには本気で後悔し、必死にルークに謝罪したり、友達に気前よく自分のドレスを貸してあげ、さらには友人に最適な見立てをしてあげたり、やはり憎めない主人公だと思う(どんなに借金がかさんでも、友人からの援助を断るところも)。
 そして、レベッカの一番いいところは、「やるときはやる」というところだろうと思う。本当はのっぴきならないところまで事態を悪化させること自体がよくないのだと思うが、今回は自身の借金の清算のために、持っている服をほぼ全て売り払ってしまうのである。
 今回は痛い思いをして借金を清算し、天職とも思える仕事をできるようになり、よかったね、といえるような終わりであった。
 痛い思いをして清算をした、とはいっても、お買いものが趣味ともいえるレベッカは次の巻でもやはりお買いものをしているようで、次の巻も楽しみに読もうと思う。

2006年09月09日

●レベッカのお買いもの日記〈1〉


 金融情報誌の新人ジャーナリスト、レベッカの趣味は、お買いもの。銀行の借越限度額を超えてまで、欲しいものは買ってしまう。だがある日、レベッカの軽はずみな受け答えが、レベッカと気になる男性、ルークとを巻き込んだ事件へと発展するのだった。
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 何となく気になった作品なので、購入してみた。
 お話としては主人公レベッカの成長と成功の物語なのだが、読んでみて、「あー、わかるわかる!」とか、「だよね~いいものは高いよね~買っちゃうよね~」というふうにレベッカと一緒になってお買いものを楽しんでいるような気分になったので、楽しんで読めた。
 ただ、共感すると同時にいやいや、それは違うよね、と突っ込みをいれたくなるところもあった(そういうところもまた楽しかったが)。
 「(クラランスのスキンケア製品を二点購入すれば、口紅等のサンプルが入ったビューティバッグがついてくる、という広告をみて)すてき!クラランスの口紅が普段はいくらするか知ってる?それが、なんと無料でもらえるなんて!(この後購入してしまう)」いやいや、スキンケア二点って、口紅以上の出費だから!無料ではないから!
 「(節約のためにカレーを作るにあたって、キッチン用品を購入したとき)だから、これは立派な投資なのだ(この後カレーは一度だけ作られたのみ)。」いやいや、まずは手元にあるもので作れるか考えてみたほうがいいから!結局出費してるから!
 レベッカの浪費癖はファッションだろうがキッチン用品だろうがあまねくものに及ぶので、読んでいて楽しいけれども、「そんなに使って大丈夫なの??」と心配になる。実際は作中では銀行から何通も借越についての手紙がきているのだが、何かと言い訳をしてかわしている。考えることはショッピングのことばかりなので当然仕事も大して身を入れていないし、隣人の金融信託のアドバイスも適当にしてしまったりで、責任感の全くないような生き方をしているのだが、なぜだか憎めない。
 それは、適当な言い訳や責任逃れをしたあとで、必ずその報いを受け、自責の念にかられたり、後悔しているからではないかと思う。後悔をしたあとに成長しているかというと必ずしもそうではないけれども(作中では買いものして気を紛らわしたりしている)、レベッカは根はいい人なんだな、というのがあって、憎めない。
 最終的には、レベッカの借金は全て清算されるのだが、自ら痛い思いをして清算したわけではなく、新しい仕事で手に入れたお金によって清算したので、浪費癖は相変わらずで、次に続く・・・ということになっている。恋人のルークとの仲も含めて、次の巻も楽しみである。

2006年08月27日

●マッチスティック・メン


 いかさまをして世渡りをしているロイは、神経症を病んでいた。フランキーの紹介した精神科に通ううち、ひょんなことから生き別れの娘と会うことになり、癒されてゆくのだが・・・。
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 この話が原作の映画が公開されると数年前に知ったときには、アリソン・ローマンがキュートだと思ったので観たいなあと思っていたが結局観れなかったので、今回原作のほうを購入してみた。以前、bk1やamazonでは取り寄せに時間がかかるようだったのであまり在庫がないのかなと思っていたのだが、オアゾの丸善に行ったらちゃんとあった。大きな書店には行ってみるものだな、と思った。
 全てを読んでから、もう一度読み返してみたくなる話だと思った。それだけ丁寧に作られているし、一体、誰と誰がグルなのだろうか?と思いつつ読んでいると、登場人物一人一人が話す台詞ひとつとっても色々なとらえ方ができ、大変面白いと思った。
 タイトルの「マッチスティック・メン(いかさま師)」のとおり、誰もがいかさま師で、もちろん主人公のロイもそうである。一度いかさまから足を洗いそうになるが、最後の文章でいかさま師として生きていくのだな、というところが、作品が暗くならずに終わっていいと思った。

2006年08月18日

●陰陽師 太極ノ巻


 清明のもとに、虫が好きな露子姫がやってきた。不思議な虫がいるのでその謎を解いてほしいという。他「鬼小槌」「棗坊主」など5編を収録。
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 あとがきを読むと、作者は意図的にそういう書き出しにしているようだが、愛すべきマンネリ、という感じの話である。どの話も、清明と博雅が酒を飲み、語り、博雅が感嘆しているところへ清明が「呪」の話をして博雅を憮然とさせ、本題へもっていく・・・というふうになっている。
 私はどうしても漫画版が浮かんでしまうので清明と博雅の話を読むと何か壮大なものが同時に浮かんでくるのだが、この小説のほうでは、怪異とはいっても淡々としていて、説話などを読んでいるような気がしてくる。
 のめりこむほど面白いというわけではないが、彼らの世界にすっと入っていけ、またすっと現実に戻っていける、そこがこの作品のいいところだなあと思う。
 次の巻がでるとしても、こういう感じなのだろうなあと思うとちょっと安心感がある(そのぶんあまり面白みはないが)。

2006年08月17日

●乳房


 「不作の生大根」と罵られ捨てられたお松は、自分を罵った男・勘蔵をある日見かけ、殺害してしまう。そこから数奇な運命をたどってゆくお松と、盗賊改方に就任したばかりの長谷川平蔵とが、複雑にからみあってゆく。
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 鬼平シリーズの番外編である。
 筋立てとしては、細かいところは違っているものの「剣客商売」シリーズ番外編の「ないしょないしょ」と似ているところがあるように思われる。
 数奇な運命を辿ることになった女が、日々を過すうちに我欲を捨て去り、幸福になってゆく・・・という感じで、池波正太郎がもっていた考え方のひとつなのかな、と思った。
 この番外編では、平蔵が盗賊改方についたばかりなので、おまさも粂八もでてこないが、相模の彦十がでてきたところは懐かしかったし、佐嶋の密偵である豆岩がでてきたことも懐かしかった。
 お松が幸せになってゆく過程をみるのはよかったが、一番最後のおさんのセリフ(勘蔵がらみの)は、あってもいいけれども、ないほうが私は好きだなあと思う。

2006年08月02日

●鬼平犯科帳〈24〉


 大滝の五郎蔵と同じ名前の髪結いの五郎蔵との話を描く「ふたり五郎蔵」、未完の長編となった、「誘拐」を収録したシリーズ最終巻。
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 シリーズの最終巻である。番外編が一冊あるものの、鬼の平蔵のお話はここまでということで、少し寂しい。
 漫画版になっているのはこの巻では「ふたり五郎蔵」だが、細かい部分が微妙に異なっていて、面白い。小説では髪結いの五郎蔵が手引きをした浪人どもを迎え撃つのは辰蔵や沢田などだが、漫画ではへなちょこの木村忠吾もいるし、病床にいた久栄までなぎなたをふるって駆けつけることになっている(しかも浪人一人を倒している)。また、髪結いの五郎蔵の妻おみよは小説では普通の女房だったのが暮坪の新五郎にかどわかされて変わってしまったものなのに対し、漫画では盗賊の仲間ということになっていた(髪結いの五郎蔵のもとへ戻ってこないのは一緒だが)。どちらがいいか悪いかということは言えないものの、漫画のほうがより漫画らしく、ドラマティックに仕上がっているのかなと思った。
 未完の長編「誘拐」は、荒神のお夏が登場し、おまさとの因縁に決着がつきそうだったのだが、お夏が登場しないうちに作者が逝去してしまったため、続きは永遠に読めなくなってしまって、非常に残念である。登場する敵側の浪人も面白そうな浪人がいただけに、彼らがどう動き、話すかを読めないのは非常に寂しい。
 シリーズは最終巻だが、番外編「乳房」があるので、次はそれを読もうと思う。

2006年07月31日

●鬼平犯科帳〈23〉


 平蔵の亡父に隠し子がいたことが発覚した。お園という平蔵の妹は、土地の顔役に執拗に言い寄られていた・・・。一方、おまさは、旧知の盗賊、峰山の初蔵に声をかけられ、引き込みをやることになった。
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 長編シリーズはこれが最後(24巻の長編は未完)ということもあって、色々と感慨深かった。
 火付盗賊改方の長官として采配をふるってきた平蔵にだんだん老いがみえてきたことや、代わって息子辰蔵や木村忠吾に成長が見えてきたことなどが、面白かった。辰蔵は剣術の腕があがってからはちょい役程度にしか出ていないところが残念だったが、木村忠吾が一女をもうけてパパになったというところで、あのうさぎうさぎ言われて男色の侍にさらわれたりしていた忠吾が、ここまでになるなんて・・・としみじみとした。
 平蔵の妹のお園は、漫画版ではそれほど遅くない段階で登場してきて、小柳と夫婦になるのだが、「私もなぎなたを練習してみようかしら」と言ったり(平蔵にそんなに強くなったら小柳が可哀想だと言われてしまう)、色々原作にはない部分があって、それと比べると小説のほうはあっさりめかな、と思った。
 荒神のお夏とおまさとの微妙な関係は、次巻に持ち越される・・・ような感じだが、未完で書かれないままとなってしまったのが残念である。
 次の巻が本シリーズは最終巻であるが、読み進めていきたいと思う。

2006年07月21日

●鬼平犯科帳〈22〉


 盗賊改方の与力が突然襲われ、殺害された。さらに下僕も殺害され、危険は平蔵だけでなく平蔵に縁ある人々にまで及んだ。敵は何者なのか、平蔵は探索を始めるが・・・。
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 この作品は私が知っている限りでは漫画化されておらず、楽しんで読めた。
 細川峯太郎はまだ少々危なっかしいところがあるが、木村忠吾や息子の辰蔵はなかなか頼れるように成長していて、時は流れているのだなあと思った。
 平蔵は過去にも盗みの手伝いをしかけたことがあったように思うのだが、やはり(見張りとはいえ)手伝いをしていたのか、と思った。
 作中では全く手がかりがつかめないなかからじょじょに手がかりをつかみ、密偵たちとともに苦心するさまが淡々とではあるが書かれていて、こちらも緊張しながら読んだ。そのために今回はくすっとくるようなところはあまりなかったが、緊迫感のある長編もいいものだと思う。
 鬼平シリーズもそろそろ終盤にさしかかってきて、少し寂しいが読み進めていこうと思う。

2006年07月17日

●鬼平犯科帳〈21〉


 勘定方に戻されてしまった細川峯太郎再び探索方に戻される「泣き男」、木村忠吾の災難を描く「麻布一本松」など、6篇を収録。
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 今巻も楽しんで読めた。一番の驚きは、平蔵の息子の辰蔵が道場の四天王と呼ばれるまでに剣の腕が上がっていたことで、漫画では「木村忠吾よりマシ」程度の描かれ方しかしていなかったため、かなりびっくりした。こういう成長は喜ばしいことだと思うが、私としてはいつまでも剣術は弱いままで、そのくせちゃっかりしている辰蔵のままで通してもよかったかなぁという気がしないでもない。
 作中の木村忠吾と細川峯太郎は、さんざんな描かれ方だと思ったが、この二人がいなければ後は真面目な人物ばかりなので、明るい雰囲気を保つには仕方ないのかもしれないと思う。
 この巻以降は24巻まで、全て長編なので、少し名残惜しい気がするが次も楽しんで読もうと思う。

2006年07月09日

●鬼平犯科帳〈20〉


 子供を助けるために傷を負った男は盗人だった・・・「高萩の捨五郎」、意外な方向に転がるかつての同門、横川甚助との出会いを描く「助太刀」など、円熟味のある筆が冴える7篇を収録。
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 今回、漫画版で読んだかなあという作品は、「おしま金三郎」、「高萩の捨五郎」「助太刀」である。その中でも特に「高萩の捨五郎」は好きな作品だったのだが、漫画と小説では細部が微妙に違っており、ラストも違っているところに驚いた。「木の上から小便をしてはいけない」と注意するのは漫画では平蔵だが、小説では高萩の捨五郎であるし、小説ではラストは子供を斬ろうとした侍の家来一人が役宅に連れて行かれるのに対して、漫画では主の侍を含む全員である(そして全員が高萩の捨五郎が杖なしで歩けなくなったことを叱責される)。どちらがいいかというものではないけれども、漫画版のほうがわかりやすい展開かもな、と思った。
 「助太刀」は、苦笑する平蔵と一緒に、自分も苦笑してしまった。男女の仲は本当にわからないものだよな、と思った。

2006年07月07日

●鬼平犯科帳〈19〉


 妻に逃げられたお人よしな浪人と、その妻の運命を描く「逃げた妻」「雪の果て」、引き込み女の苦悩を描いた「引き込み女」など、味わい深い6篇を収録。
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 今巻では、私が知る限りで漫画になったと思われる作品がなく、新鮮な感じで楽しめた。
 「おかね新五郎」では、平蔵は若いころは本当に手がつけられないぐらい悪だったのだなあと思った(その時期があったから盗賊改方の長官という今があるわけだが)。話終盤の敵討ちのところがいいと思う。
 「逃げた妻」「雪の果て」は、連作というべきようなものだが、鬼平シリーズの中ではかなり救いがないほうだと思う。人がいいというだけで善人な藤田浪人が夫以外の男を知って道を踏み外した妻のおりつと堕ちていく話で、切ないというよりも哀れだな・・・と思った。
 「引き込み女」は、淡々としか書かれていないのだが、読み終わったときにとても切ない気持ちになった。どうしようもないことはあるものなのだ、と思った。
 次の巻では、私の好きな「高萩の捨五郎」の話があるらしいので、とても楽しみである。

2006年07月06日

●鬼平犯科帳〈18〉


 色好みの妻とその夫と、盗みの関わりを描く「蛇苺」、密偵仁三郎の苦悩を描いた「一寸の虫」など、6篇を収録。
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 この巻で漫画になっていたなあと覚えているのは、同心細川峯太郎が出てくる「俄か雨」と「草雲雀」である。漫画では原作とは少し終わりの部分が違うような気がしたが、概ね原作どおりだったと思う。ただ、原作では妻女のお幸との新婚ムードが描かれているが、漫画ではなく、肥えたお幸を迎えるのはどうもな・・・と思っている細川が描かれるのみだった(漫画では「いささか肥えている」というよりでっぷりしている描写だったが)。
 伊三次が死亡してから、何かと話に出てくるようになった密偵の仁三郎が自害してしまう話が、仁三郎の義理堅さと誠実さとが感じ取れて、残念な話ではあったけれどもよかったと思う。
 長編は長編でいいが、短編いいな、と思いながら読み終わった。次巻も楽しみである。

2006年06月22日

●鬼平犯科帳〈17〉


 ひっそりと営まれている居酒屋、「権兵衛酒屋」の亭主と女房が襲われ、亭主は姿を消した。謎を探る平蔵だったが、刺客の刃は平蔵をも襲った。
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 特別長編「鬼火」である。これは漫画では読まなかったように思うので、先が分からず楽しんで読めた。
 この巻でもやはり忠吾は叱られてしまうのだが(昼寝をしていたのだから仕方がないが)、もはやお約束のようなものかな、と思いつつ読んだ。
 1巻から登場している小房の粂八が最古参の密偵なのかと思うと、作中ではそんなにも長い時間が経ったのかとしみじみしてしまう。年齢的には上の相模の彦十も、密偵の柱になりつつある大滝の五郎蔵も粂八より後で密偵になったのだなぁと思った。
 作中に登場する浪人の高橋勇次郎ののんきぶりとお熊婆さんの元気ぶりが、読んでいて印象に残った。

2006年06月18日

●鬼平犯科帳〈16〉


 女賊の身体をもてあそぶ同心を描く「網虫のお吉」、放火犯を描く「火つけ船頭」など、短編6篇を収録。
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 「網虫のお吉」「火つけ船頭」など、漫画版でも収録されていた話が多く、今回も楽しめた。
 漫画版でも結婚した忠悟のでれでれぶりは描かれていたが、小説のほうでも誰かれかまわずでれでれするところが描かれており、面白かった。漫画では佐嶋にまでのろけるところは描かれていなかったと思うので、危なっかしいなぁと思いつつ読んだ。ムードメーカーとはいえ、長官の平蔵に叱られるのは忠悟くらいのものなのではないかと思うが、作者も楽しんで書いているのかもしれない。
 「霜夜」は平蔵の弟分であった池田又四郎との話であるが、池田又四郎の平蔵への感情が友情なのか友情以上のものなのか(男色以上の愛、と作中にはあったが)、自分にはつかみかねた。
 次の巻は特別長編である。漫画版では読んでいなかったと思うので、楽しみである。

2006年06月10日

●鬼平犯科帳〈15〉


 盗賊改方の同心二名が立て続けに殺害された。半年前に平蔵を襲った刺客の兇刃に似ていたが、捜査は難航を極めるのだった・・・。
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 初の特別長編である。漫画では読んだ話であるが、楽しく読めた。
 漫画ではあまり語られなかった木村忠吾がそろそろ一人前になるところと、まだ少し甘えが抜けない息子辰蔵とがいい味を出していたと思う。平蔵よりも妻の久栄のほうがずっと厳しいというところが、ありがちでリアルだと思う。
 今では携帯やらメールやら連絡手段が発達しているからそう困ることはないが、平蔵のいた時代では連絡(つなぎ)は人でやるしかなく、見張り所を設けたり尾行をしたりするときでも何人も必要で、どれだけ必要かという先読みが必要なんだなあと読んでいて思った。
 伊三次の代わりの蛸坊主もなかなかいい味をだしていて、初の特別長編はなかなか楽しめた。次の巻はいつもの短編集だが、楽しく読めることと思う。

2006年06月02日

●鬼平犯科帳〈14〉


 密偵・伊三次の最期を描く「五月闇」、木村忠吾とそっくりな盗賊を勘違いして話しかけてきたことから始まる「さむらい松五郎」など、6篇を収録。
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 漫画のほうでは、伊三次が死亡する回は結構早いうちにでてきたと思ったが、それ以降の漫画では時間が前後して伊三次が死んでいたりいなかったりするので、伊三次が死んだという実感に乏しかったが、さすがに本家の小説版ではそういうこともなく、現在15巻を読んでいるのだが伊三次は本当に死んでしまったのだなぁとしみじみと思う。
 「さむらい松五郎」は、忠吾が活躍する回だが、小柳安五郎が屈指の美形であるという形容があって、びっくりした。小柳安五郎というと、どうしても漫画版のほうをイメージしてしまうので、美形・・・なのか・・・と思ってしまった。
 次巻は長編だということで、楽しませてくれそうだと思っている。

2006年05月27日

●鬼平犯科帳〈13〉


 本格の盗めをしなかった盗賊たちを懲らしめる「一本眉」、熱海へ湯治へでかけた平蔵たちの話を描く「熱海みやげの宝物」など、8篇を収録。
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 この巻も楽しく読めた。
 前巻から引き続いて、息子辰蔵が遊びばかりでなくきちっと成長しているのを、何となく微笑ましく思った。悪友の阿部弥太郎がちっとも進歩していないのはどうだろうかと思ったが、憎めない感じである。
 「夜針の音松」は漫画にもあった話だが、オチが小説とは変わっていて、違いを楽しんだ。小説のほうはあっさりめな印象だが、漫画のほうでは絵があるぶんだけ登場人物の感情などが少し強いように思った。
 「一本眉」は、漫画とは筋立てが違うように思ったが、これからの巻でまた一本眉の盗賊が登場するのかもしれないなと思った。「流星」のように別々のお話をひとつにまとめたものが漫画版なのかもしれない。
 次の巻では伊佐次が大変なことになるようで、目が離せない巻のようである。

2006年05月23日

●鬼平犯科帳〈12〉


 平蔵の信頼する密偵たちのいたずらを描く「密偵たちの宴」、恐るべき剣術使いの津山薫と沢田小平治との因縁を描く「白蝮」など、7篇を収録。
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 この巻は漫画版で好きだった「密偵たちの宴」が掲載されているので、楽しみに読んだ。
 漫画版では、密偵たちが盗みに入る竹村玄洞がより悪人に描かれてい、やや胸がすいたものだが、こちらは割りとあっさりしていた(竹村玄洞が悪人なのは言うまでもないことなのだが)。平蔵が全てを見抜いていたことに震え上がったおまさが飲んでくだをまくという最後は一緒だったが、どちらも楽しく読めた。
 「白蝮」は漫画にもあった話で、筋立てもそれほど変わっていないが、小説では息子の辰蔵の成長がちょっと見られるような感じで、微笑ましかった。
 最後の「二人女房」では図体以外は弱弱しかった高木軍兵衛も成長してしっかりした人物になりかかっていたし、全体的に明るい感じで読んでいて楽しい巻であった。

2006年05月16日

●鬼平犯科帳〈11〉


 木村忠吾が男色の侍に誘拐されてしまう「男色一本饂飩」、弱虫の同心が妻を殺されて敵討ちを決心する「泣き味噌屋」など、冴え渡る短編を収録。
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 「男色一本饂飩」は、割と早い時期に漫画にもなっている話で、漫画も気持ち悪かったが、小説も気持ち悪かった。さいとうたかを氏の絵は、私にとっては忠吾も男色の侍も美男とはとてもいえないので、二人の絡みの画面(侍の想像)も、むしろ失笑するほどであった。しかし、漫画でも小説でも、一本饂飩の描写はとても美味しそうである。
 「泣き味噌屋」や「土蜘蛛の金五郎」などは、漫画も小説もあまり筋立ては変わっていないように思えた。
 「穴」や「毒」は、今までと趣向の変わった話で、これはこれで面白かった。もしかしてドラマで見たかもしれないが、全く覚えていなかった。
 個性的な同心や密偵、盗賊たちが登場するとはいえ、ここまで沢山の話もよく作れるなあと思うが、読むほうとしては楽しいので満足である。