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2007年12月09日

●チェリー・チーズケーキが演じている


 マイクとノーマンからのプロポーズという夢のような日から一週間がたち、レイク・エデンで映画撮影が行われることになった。だが、素行に問題のある人物の監督が撮影中に死亡してしまう。そして側にはハンナの作ったチェリー・チーズケーキが・・・。
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 シリーズの8作目であるが、今回はマイクとノーマンのプロポーズに対してどういう答えを出したか?ということと映画のプロデューサーである大学の同級生、ロスに複雑な思いを抱くハンナ・・・というのがメインであり、殺人事件は刺身のつまのようなものである。
 冒頭部分で殺人事件は起こってしまうが、そこからマイクとノーマンからのプロポーズに悩むハンナが町中からどちらを選ぶのかとせっつかれて軽くキレて答えをだし、レイク・エデンに映画の撮影隊がやってくるという過去に遡り、再び殺人事件が起こるところに至るまでに話の半分程度が費やされている。殺人事件がメインならばあまりあり得ない構成だが、このシリーズで最も魅力的なのはハンナの周辺の話であるので、これはこれでかえって潔くていいかな、と思った。
 二人のプロポーズに対してだしたハンナの答えは、「いつ結婚したいかは自分で決める。自分が結婚したいと思うまで、二人とは結婚しない」というものだが、実際にそういう答えができるかどうかは別として、ハンナらしい答えだなあと思った。作品的にも作者が続けたいと思うまでずっと続けられるかなりおいしい設定なのではないかと思った(一読者としては答えをだしてほしいと思うけれども)。
 このシリーズは今までのようにまだもう少し続きそうなので、楽しみに次を待ちたいと思う。

2007年11月11日

●キルン・ピープル(下)


 私立探偵モリスの以来は、ある人物の捜索だったのだが、モリスの使う複製たちとモリスは意外な事件へと巻き込まれていく。
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 適当に更新するようにしてからすっかり「書かない習慣」が身についてしまった感じだが、今後も適当に更新という方針にしようと思う。
 上巻ではこの世界における「複製」についての定義などが面白かったが、下巻では本格的に事件に巻き込まれてゆく。その事件は非常に壮大で(人類の存亡とか根源とかそういったような感じ)はあるのだがさらにまだ裏があり、最後まで気が抜けない。
 しかし、読んでいて一番面白いと感じたのは、この世界でも某巨大掲示板のようなものがあるのだが、「○○だろ、常考(常識的に考えての略)」というような特徴的な文章が使われていることである。やらない夫のAAとともに使われているのだろうか(最先端の時代でも)、と思うとおかしかった。
 終わりも悪くなく、読後も爽やかである。重厚感は足りないような気がするが、肩肘張らないものが読みたいときはぴったりだと思う。

2007年10月26日

●キルン・ピープル(上)


 近未来のアメリカでは、その世界は一変していた。陶土の人形に意識をコピーできる技法が確立されて以来、ゴーレムと呼ばれる複製は生活の必需品になっていた。そんな世界で探偵をやっているモリスが手がけた事件とは?
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 なんとなく面白そうに感じられたので購入してみた。購入したときは新刊扱いだったので、平積みのために魅力的に思えた。表紙が見えるということは重要だと思う。
 さて、読んでみたところ、結構さくさくと進むので面白く読めたと思う。ゴーレムという設定自体は複雑だと思うのだが、緑色ゴーレムは雑用であるとか、黒(エボニー)・グレイは専門作業用、白はエロ用(高感度のため)と用途が分かれていたり(そのゴーレムに必要なことをさせているあいだコピーした本人は勉強・研究などやりたいことをやるのである)、人型ゴーレムだけでなく動物型のゴーレムもあったりと面白く、またそれを無理なくこちらに理解できるように紹介していると思う。
 最初はただの複製の誘拐騒ぎ(違法コピーに使うため)だったのだが、主人公モリスが、複数の案件をこなすためにコピーしたそれぞれの複製たちがからみあってひとつの大きな話になってゆくという読み応えのある話である。それぞれの複製ごとの一人称で語られるが、全て同一人物(のコピー)なので当たり前だが全く違和感がない。上手な設定だなあ・・・と思いつつ読んだ。
 下巻は複製の誘拐騒ぎから随分壮大になってゆくのだが、その感想は次に続く。

2007年10月23日

●氷の家


 18世紀に造られたある邸の氷室に、男が胴を食い荒らされて死んでいた。警察は行方不明になっている邸の主だと睨んでいるのだが、真相は・・・。
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 ミネット・ウォルターズとは相性がいいと思ったので購入してみた。ミネット・ウォルターズのデビュー作なのは、単に本屋に他に本がなかったからである(しかし、一冊でもあるというのはまだマシな本屋ではなかろうか・・・と思う)。
 この本を読んで少し驚いたのは、国内でのウォルターズの最新作「病める狐」に名前だけ登場するアン・カトレルが主人公となっていることである。そして、アン・カトレルと対になる警察の人間であるアンディ・マクロクリンとの間で交わされるロマンスが、この作品にきわめて鮮やかな色彩を加えている。
 「病める狐」はトレーラー・ハウスに住む人々という馴染みのない題材だったせいか、なんとなく作品自体が上品にまとまりすぎているような感じがしたのだが、この作品はそうではなく、前述のロマンスの描写もあるためか起こった事件まで生々しく感じられた。
 ウォルターズの作品を読んでいつも思うのは、イギリスは階級社会なのだなあということである。日本にはないとは言わないが、きっとイギリスに住んだりしたら驚くのではないだろうかと思う。

2007年09月09日

●大鴉の啼く冬


 新年を迎えたシェトランドで、黒髪の少女が死んだ。8年前に失踪した少女との関わりが噂されるが、真相は?
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 CWA受賞作ということで買ってみた。かなり静かな作品なので、「すごく面白い」とか「期待を裏切らない」というようなものではなかったが、それでも面白く読めた。
 この作品の面白いところは、口に出しては言えないような、卑しいともとれるような本音が極めて自然に文中に挿入されていることで、卑しい本音も自然なものとして扱うということなのかな・・・と思うと面白かった(作中ではフォントが違っているのでそれと分かるようになっている)。話の内容は、「閉ざされた社会」の中で起こった事件という感じで、ミネット・ウォルターズとも通じるものがあるが、シェトランドの冬の透明な空気を感じさせるような静かさがある。
 この作品はシェトランドカルテットというシリーズの1作目だそうで、もしかして2作目もあるのかなぁと思う。この作品では登場人物には色々な秘密があるように思われる(今作品ではほのめかされる程度であったりするが)。その秘密が明かされるのかどうかは分からないが、次も出版されるようであれば読んでみようかな、と思う。

2007年08月26日

●病める狐(下)


 ロキャー-フォックス家の大佐を案じて戻ってきた大佐の孫娘ナンシーは、事件を操る謎の男、フォックスと対峙することになった。近隣のトラヴェラー、刑事たち、村人を巻き込んで、事件は収束していく。
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 読み終わって、今作は「家族」や「絆」を描いているのかなあ、と思った。作中で行われている犯罪はわりとありふれたものだし、犯人がそこに至るまでの過程もよくあるようなものなのだが、登場人物同士の会話が面白いのでさくさく読むことができる。
 それにしても、イギリスの田舎も日本と同じように人間関係で色々あるようで、海外とはいえ少し似たようなものを感じた。
 ミネット・ウォルターズの作品が安心して読めるのは、ラストに必ず希望があるからで、今回も非常に爽やかなよいラストだと思った。

2007年08月19日

●病める狐(上)


 ドーセットの名家ロキャー-フォックス家では、老婦人が死んで以来、毎夜いたずら電話がかかってくるようになった。困り果て、本来は関係のないはずの孫娘を呼び寄せるなか、ドーセットの<雑木林>にはトラヴェラーたちが集結しようとしていた。
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 ミネット・ウォルターズの最新作だが、いつもはどんなに話が長くとも一冊なのに今回は上下巻で二冊である。厚さから考えるとぎりぎり一冊にはできないかなあ・・・と思えるような気もしたが、これは二冊に分けてお金を余計にとろうとしているのでは・・・という商法のようにも思える。翻訳物は売れないし、その中では多分売れるほうのミネット・ウォルターズの新作がこうなるのは仕方ないかなあと思うが、出来れば一冊にしてほしいと思う。
 お話は、イギリスの田舎が舞台であるが、トレーラー・ハウスで寝泊りする「トラヴェラー」や狐狩りなど、日本ではあまり馴染みのないものがでてきてピンとこないことがあった。しかし、トレーラー・ハウスで寝泊りするというのは他の小説でも見たことがあり(ペギー・スーは最初はトレーラー・ハウスで寝泊りしていたように思うし、キングの小説でも何作かあった気がする)、私の中ではトレーラー・ハウスといえばキャンピング・カーのアップグレード版というイメージだったが、海外ではトレーラー・ハウスで寝泊り→住所が不確定・もしくは家を借りれない→低所得者・(住所が不確定なため)胡散臭いと思われているようだというのが興味深かった。
 作中で行われていることはそれぞれはありふれたものなのであるが、それを行っている人は同じ村の人だったりするので、普段であれば見えてこないような嫉妬や僻みのようなものが見えてきて、そこが面白かった。一番面白いのは、作中で喧嘩しているときの会話だと思う。
 下巻もこのような調子らしいので、楽しんで読もうと思う。

2007年08月05日

●ミッドナイト・キャブ


 ウォーカーは両親がいなかった。記憶に残るのは、母親の声と、金網に捕まる自分の手だけ。19歳になると、母親に何があったのか、今どうしているのかを探るために都会へ出てきたのだが、そこには殺人事件の影が・・・。
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 この本は、表紙が何となくよさそうな気がしたので買ったというジャケット買いである。そして読んでみたら結構面白かったので、得したなあと思った。
 この本はカナダのラジオドラマ用に書かれた脚本だったのを、小説用に書き上げたものであるらしく、著者は脚本家で、小説といえばこれしかないし、今後も書かれることはないようである。そうなると発売して間もない今買ったのはよかったかも、と思う(1年後くらいには恐ろしく買いにくくなっているはずである)。
 読んでみて、ミステリーの要素は確かにあるものの、一人の若者の成長物語なのだなあと思った。話のキーマンとなるのは主人公ともう一人「ボビー」がいて、「ボビー」が話を暗澹とさせてはいるのだが、ラストは非常に爽やかである。それは「ボビー」はあくまでも乗り越えるべき壁であり、最終的に主人公は乗り越えることができたからかな、と思う。
 個人的には、主人公と主人公の親友の、子供のころの会話がよかった。友達になろうとはどちらとも言っていないけれども、いつの間にか友達になっている、というのが友達というものなんだろうと思う。

2007年07月21日

●サンドキングズ


 指の爪ほどの生物だが飼い主を崇拝し、戦争すら起こすという表題作「サンドキングズ」、退廃した異世界で地下をさまよう「<蛆の館>にて」など、6篇を収録。
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 この本は、「楽園占拠」をbk1で買った際に1000円以上だと送料が安くなるので追加で購入した一冊である。「タフの方舟」がとても面白かったので、これも面白いかな、と思い選んだのである。
 全6篇あるが、最も面白かったのはやはり表題作の「サンドキングズ」である。話の構成、結末自体はよくあるものかなと思うが、サンドキングズの正体は何だろうか、とかサンドキングズを売っているジャラ・ウォウは何者だろうかとか、色々と想像する余地があって面白い。
 全篇を通してある共通の世界観をもって描かれており、短編それぞれを読むとどういう世界観なのかがおぼろげながら分かってくる。どのお話も地球ではない星の話であり、未来の話である。「サンドキングズ」以外の話は、ある一部分を切り取ったかのような話が多いが、それぞれ趣があると思う。

2007年07月15日

●楽園占拠


 リゾート地になろうとしていた石油掘削装置に、同窓会のために人が集まろうとしていた。だが、そこには武装した集団も集まろうとしていた・・・。彼らの目的は一体何だろうか?
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 以前読んでみて面白かった「殺し屋の厄日」のブルックマイアの4作目である。「殺し屋の厄日」はパーラベインのシリーズであったが、これはそういったものとは関係のないノンシリーズである。
 4年前に出版された本だが、どの本屋に行っても置いてなく、在庫を調べてもなかったのでbk1で購入した。bk1は駅のコンビニ(NEWDAYS)で受け取りができるのでさりげなく便利だと思う。
 読んでみて、面白かったが主人公不在の話だなあと思った。主人公は一応いるのだが、全編を通じて大したことはしていない(やったことといえば武装集団にゲロを吐きかけたぐらいである)。主人公よりも個性的な面々がどんどん登場してきて、彼らが話を動かしているような気がした。主人公を軸として話が進むものではなく、主人公およびその他の面々がある状況でどう動くかという群像小説のようなものかなと思った。
 ユーモアと皮肉をたっぷりまぶした文章なのだろうなと思ったが、イギリスの事情に詳しくないと分からなかったり、これは原文で読めばより皮肉がきいているのだろうなと思うような文章が多かった。事情を知らないのでユーモアも皮肉も3割減のような気がする。しかし、3割減でも結構楽しめるもので、マグレガー元警部(パーラベインシリーズでも登場した警部)が爆発で飛んできた腕が頭に当たって気絶するあたりは面白かった。
 個人的には、警備コンサルタントのヴェールがいい味を出していると思う。

2007年06月24日

●鉄の枷


 資産家の老婦人マチルダは鉄の枷をかぶって死亡していた。当局は自殺と判断したものの、はっきりと断定できるものではなかった。しかも、遺産を全て家族ではなく主治医のセアラに継がせるという・・・。
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 ミネット・ウォルターズの作品はこの作品と「蛇の形」しか読んではいないが、どれも静かな満足をもたらしてくれる作品である。それは、この作品には殺人事件を軸にして登場人物の抱える問題やそれにまつわるちょっとした事件(もしくは大きな事件)が平行して描かれているので登場人物に深みが与えられ、さらにはそれらの問題も何らかの解決があることでこれからを想像させるという余地まであるからだと思う。それゆえに作品は長大で分厚いのだが、それ以上の広がりを感じさせるのだと思う。
 なかでもこの「鉄の枷」は主人公セアラの夫である画家のジャックの描写は特に際立っていて、一見すると登場人物のなかで一人浮き上がっているようにも思えてしまうが、しかしジャックのある種無謀な性格が作品全体の静かな雰囲気を良い意味で変えていると思う。
 原題は「スコウルズ・ブライドル」といって、「がみがみ女」という意味もあるが邦題のとおりお仕置き道具のひとつである。どういうものかぴんとこなかったので調べてみたらこういうものこういうものだということが分かって、昔はこういうものがあって、しかも一般的だったのか、と思った。
 分厚いが、結構すんなりと読めてしまう作品だと思う。安心して読めるので、他の作品も読んでみたい。

2007年06月10日

●グリフィンの年


 チェズニー氏観光事業の件から8年が経ち、ダークの子であるグリフィンのエルダは魔術師大学に入学する年齢になった。だが、魔術師大学の経営は悪化し、親たちに無心の手紙を送るほどだった。そしてその無心の手紙はトラブルの種を蒔くことになるのだった。
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 前作である「ダークホルムの闇の君」から8年が経ったという設定のお話で、前作よりは規模が小さめのお話であるが、魔法世界の大学とはこういうものか、という楽しみもあり、また大学だけに限定しない話の運びで飽きずに読むことができた。
 前作ほどしっちゃかめっちゃかな感じではないが、今作も主要な登場人物は個性的であり、彼らの抱えている問題が絡み合って思いもよらぬ展開を見せ(今作はどういうわけか火星に行くことになってしまう)、しかし最後は大団円というふうにうまくオチがついていて、安心して読める。
 前作と今作とダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品を読んだのだが、どちらも必ず全く容赦されない悪人がいるなあと思ったが、ジョーンズのどの作品もそうなのかなあと気になった。

2007年06月02日

●ダークホルムの闇の君


 魔法世界は事業家チェズニー氏がやってきて観光事業を行って以来、混乱を極めていた。この観光事業をやめるためにお告げで選ばれたのは、ダーク魔術師とその子供たちだった・・・。
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 あらすじだけではぴんとこないと思うが、このお話の世界は、なぜだか強力な魔物を従えたチェズニー氏が魔法世界を有無を言わさず観光事業(勇者が闇の王を倒すというRPG的なアレ)に協力させてしまっていて、その際に人が死んだり略奪が起きたりということが普通にあるので魔法世界は疲弊してしまっている・・・ということが前提にある。
 それらをやめさせるために選ばれたのがダークという魔術師で、普通に誠実な魔術師だが、妻が一人と子供たちは人間が2人にグリフィンが5匹という非常に賑やかな一家である。彼らを軸にして話は進んでゆくが、途中ダークがある事情で観光事業をしきれなくなって子供たちが何とかするはめになり、事態はやっかいな方向へ・・・というものである。
 この話の登場人物は、内向的な人物はおそらく一人もいないのではないかと思われるほど、一人一人が個性的で、そんな彼らが物語を動かすので相当にしっちゃかめっちゃかである。これで物語は収束するのかと思ってしまったが、しかし読んでいくといつの間にか物語は収まるべき方向へと収まっており、大団円である。こちらもぐいぐいと登場人物の個性に引っ張られるようにして読んでしまう。
 ハリー・ポッターやペギー・スーシリーズとはまた一味違った個性のある作品だと思う。

2007年05月19日

●殺し屋の厄日


 そこは凄惨な殺人現場だった・・・ただしぶちまけられているのは大量のゲロとどでかいう○こ。警察が首をひねるなか、闖入してしまった運の悪い記者・パーラベインは、事件を調べるのだったが・・・。
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 本屋のポップで面白そうだと思ったので何となく購入した本だったが、これはかなり面白かった。今までペギー・スーシリーズを読んでいて、奇想天外な展開だったけれども裏の無い文章をずっと読んでいたので、この皮肉とユーモアをたっぷりまぶした文章は大変面白いと感じられた。
 凄惨な殺人現場もユーモアがあふれ、それに刑事たちは辟易するのだが、読んでいて「あーあ、かわいそうになあ」と思わず苦笑してしまった。
 事件現場に闖入してしまった主人公パーラベインや、刑事や被害者の元妻などどのキャラクターもそれぞれきちんとした個性で描かれている。結末も暗いものではなく明るいもので(こういう映画ってありそうだなあ、と思うほどに)、楽しく読める一冊であった。
 同じ作者の作品に「楽園占拠」というものがあり、そのうち読んでみようかなあと思う。また、このパーラベインを主人公にした話はシリーズとして出版されているようなので、今後ヴィレッジブックスで同じように出版されるかは分からないが、出版されるのであれば読んでみようかなと思っている。

2007年05月13日

●ペギー・スー〈6〉宇宙の果ての惑星怪物


 度重なる冒険ですっかり有名になったペギーたちのもとへ、惑星カンダルタの将軍が助けを求めにあらわれた。巨大な怪物が小さな子供たちをさらってゆくのだという。ペギーたちは勇んで惑星カンダルタへと向かったが・・・。
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 恋人セバスチャンは人間に戻ったものの、やっぱり普通の女の子にはなれないペギー・スーのシリーズである。
 奇想天外な展開が今回も面白いが、毎回こういうストーリーをどうやって考えるのかと思う。特にペギー・スーシリーズはそうだが、敵からの攻撃がいつも精神に異常をきたしたりするものが多くて、しかも毎回必ずといっていいほどペギーたちはその攻撃にひっかかってしまうので、読んでいて少しはらはらしてしまう(完全にはらはらしないのはペギーたちが切り抜けると分かっているからである)。
 今巻ではケイティーおばあちゃんがあまり活躍しなかったが次ではどうなるのかなと思っている。ペギー、セバスチャン、青い犬、ケイティーおばあちゃんの3人と1匹がそろってこその物語だと思うので、次回は活躍してほしいなと思っている。

2007年04月28日

●ペギー・スー〈5〉黒い城の恐ろしい謎


 どうしても人間に戻りたいと思ったセバスチャンの夢に、奇妙な本屋があらわれた。そこにはセバスチャンの砂の呪いを解く方法があったのだ。本屋は実際に存在したが、そこでペギーたちは思ってもみない苦難に見舞われることになった・・・。
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 毎回奇想天外なストーリーで楽しませてくれるペギー・スーのシリーズである。
 今回も、起こった二つの事件がこういう形で結びついているのか、とか、こういう展開になるとは!とか、こちらを驚かせてくれて、楽しめた。
 今回、セバスチャンが人間に戻るために行くことになる町には、ある事情で動物たちのミニチュアの町ができているのだが、このあたりの描写は子供だったらとても怖がるだろうなあと思った。私も今回は他の子供向け小説にはない残酷さがあるなぁと思いながら読んだ。
 少し展開が強引だったりするところがあるが、最後はハッピーエンドであるので安心して読める。

2007年04月19日

●コメントスパム

 ここ最近、コメントスパムが多くなった。
 設定を変更した(コメントに1つURLが含まれると承認まちになるので、コメントの際は気をつけていただきたいと思う)ので、見た目はないように見えるが、それでも数時間おきにコメントスパムは投下されている。
 トラックバックは承認制にしてあるのでスパムトラックバックがあっても大丈夫なのだが、コメントのほうはこのままではちょっと不便かなあ・・・と思っている。1つでもURLが含まれるようなコメントを書くような場合もあるかもしれないし、投下されたコメントスパムをいちいち削除していくのも面倒である。
 最近のブログによくある、もにょもにょした画像の文字を入力してからコメントするプラグインがあり、それを導入すれば何とかなりそうかなと思っているが、面倒なので「明日でいいか」と思ってしまってなかなか果たせない。しかし別のプラグインでも面倒くささでは変わらないので、そのうち取り掛かろうと思う。

2007年04月16日

●ペギー・スー(4) 魔法にかけられた動物園


 「見えざるもの」たちを滅ぼしたペギーたちは、水の街アクアリアにやってきた。だが、アクアリアの動物園にいる蛇やドラゴンたちはおかしくなってしまっていた。宇宙からやってきた彼らは、地球征服を狙っているらしい。なかなか普通の女の子になれないペギーの冒険シリーズ第4弾。
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 今巻も奇想天外な展開で楽しく読めた。ペギーとセバスチャンは14歳という設定なので、思春期ということもありそれぞれを好きな相手がでてきてお互いがやきもきしたりするのだが、前巻はペギーを好きな相手が登場し、今巻はセバスチャンを好きな相手が登場する。とはいっても冒険のお話がメインなのでさらっと書かれてあり、二人の仲が壊れることはないので安心して読める(ちょっと物足りない部分もあるが)。
 ペギーとケイティーおばあちゃんとの会話だけで謎が明らかになってしまったり、「男の子はこういうもの」という一方的な見方をしていたりと、こちらが読むと「ん?」と思うところもあるが、そのあたりは子供向けだし仕方ないかなあと思う。
 こちらの考えもつかない方向へ話を引っ張るところは凄いしとても面白いので、次巻も楽しんで読みたいと思う。

2007年03月31日

●ペギー・スー(3) 幸福を運ぶ魔法の蝶


 ペギーは夏休みに、祖母ケイティーのところへやってきた。だが、祖母は魔女なうえ、祖母の住む村も不思議なところだった。そしてその不思議な村には、とても大きな蝶がやってきて、その影に入ると全員が幸福になるというのだったが・・・。
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 「祖母のところへ夏季休暇を過しにきた」という名目がくっついているが、ペギーはこの巻で実の両親から厄介払いされている。ペギーは大人なので自分が原因で起こる怪奇現象のせいで両親が自分を怖がるのも無理はない、と考えているが、よく考えると悲惨だよな・・・と思った。
 だが、相棒の青い犬がいい意味で無鉄砲なので真面目なペギーとのやりとりが面白いし、人間ではないが恋人もいるし、祖母のケイティーはペギーに理解があるしで、ペギーにとってはいい環境になったのかな、と思う。
 この巻からペギーは様々な難題に対して自分の知恵と勇気だけで挑むようになり、魔法の瞳も、魔力のある眼鏡も出てこなくなっている。赤毛の妖精アゼナはペギーに眼鏡を渡すための宇宙の横断ですっかり消耗したという設定になり、この巻で「見えざるもの」たちを根絶する方法が示されるなど、作品の方向性がリニューアルしたような感じである。リニューアルしたといっても、奇想天外な展開やペギーたちの奇抜な解決法などはそのままなので、変わらず楽しめる内容である(むしろ魔法の瞳という縛りがないほうがすっきりするのかもしれない)。
 個人的には、青い犬が「(犬のための)ロック歌手になる」と言ったり、歌ったりしているのが面白かったが、それが作品内で役に立っているのがよかった。次の巻も楽しみに読もうと思う。

2007年03月21日

●ペギー・スー(2) 蜃気楼の国へ飛ぶ


 父親の仕事の都合で砂漠の町へやってきたペギー・スーは、蜃気楼が人々を捕らえ、消してしまうという噂を耳にする。ペギーの家族も蜃気楼の犠牲になり、ペギーは家族を助け出すために蜃気楼の向こうへ行くことになった。
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 今巻は、前巻と比べてホラー色はやや薄くなったが、そのぶん冒険色が強くなっていて、「その発想はなかったな」というような展開のオンパレードである。プールだと思って入っていたら実はスープ鍋だったり、カカオ豆のようなものを食べると翌日チョコレートになってしまったり(陽の光によって溶けるところが恐ろしい)、ファンタジーでありながらも生死がかかっているので(チョコレートに変身して食べられたらもちろん死亡なのである)さらっと残酷だと思う。
 今回は「見えざるもの」たちは関わっていないかな、と思っていたらこういう形で関わっていたのかぁ、なるほどねと思ったり、構成も巧いなと思った。
 やはり普通ではないけれども今巻ではペギーにボーイフレンドができる。次の巻からはレギュラーで登場するようなので、どうなるか楽しみである。

2007年03月03日

●ペギー・スー(1) 魔法の瞳をもつ少女


 ペギー・スーは、「見えざるもの」たちを見る力をたまたま与えられ、彼らと闘うことを宿命づけられてしまった。ペギーの力はまだ不安定なため、「見えざるもの」たちは様々な手を使ってくるのだった。ある田舎町に越してきたペギーたちは、そこで青い太陽があらわれ、周囲を天才にしてゆくのを見るのだったが、それは「見えざるもの」たちの罠だった。
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 何となく表紙に惹かれて購入したシリーズである。文庫本でないときから名前だけは知っていたが、第2のハリー・ポッターのような本を出現させるべく色々な出版社が頑張った多数の作品のうちのひとつというような位置づけしかしていなかった。つまり大したことないと思っていたのである。
 だが、読んでみてこの作品はかなり残酷だ、と思った。何しろペギーはその能力のせいで一家の鼻つまみものであるし、普通の友達がいないし、「見えざるもの」を視線で焼くことはできてもそれは使いすぎると目に負担なのであまり使えないため、結局「見えざるもの」にいいようにされたり、「見えざるもの」から皆を救っても感謝されなかったり、自分だったら耐えられないかもなあ・・・と思うような状況が多い。また、この巻は特にホラーな要素が強くて、動物たちが急に天才になって人間たちを脅かすようになり、人間への復讐のために子供を子豚に思わせて人間に食べさせようとしたりしていて、さらっと書かれているが結構残酷で重い話なのではないかと思った。
 ペギーを取り巻く状況はいいとはいえないような状況なのだが、だからこそ「見えざるもの」をやっつけるときは爽快なのだろうかなと思う。話の最後で「青い犬」というペギーの相棒ができるところが、ちょっとほっとする部分だった。今のところ6巻まで文庫になっているようなので、楽しみに読んでいきたいと思う。

2007年02月25日

●ねこのばば


 江戸長崎屋の若だんなは、相変わらず寝込んでばかりで、佐助(犬神)と仁吉(白沢)の手厚い保護を受けていた。寝込みながらも、若だんなのもとには種々の事件が転がり込むのであった・・・。
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 おなじみの若だんなシリーズは、去年の年末に見かけて買わなければ、と思って今さら購入したものである。短編集なのだが、確実に時が流れているなあ、と思う短編集だった。
 さらりとした心地よい時代小説だが、宮部みゆきのそれと微妙に違うところは、個人の力ではどうしようもないような厳しい現実が突きつけられる(それは若だんなも例外ではないだろう)ことだろうか、と思う。ただ、宮部みゆきと同様に暖かな視線ではあるけれどももう少し厳しく現実的であるが、作中での突きつけ方がゆるりとしていてさりげないので、読んでいてきついなあと思うことはない。
 今巻で一番「現実」だなあと思ったのは、隣の三春屋かな、と思う。菓子づくりの下手な栄吉が跡取りに決まり(跡取りで大丈夫なのか不安が残るが)、若だんなを想っていた妹のお春が嫁に行くという短編があってで、一番そうなりそうな展開になったのだなぁ、という感じである。
 若だんなにも、そのうち自分自身で決定しなければならないことがやってくるはずだし、そのときにはどういう決断をするのか、という若だんなの成長が楽しみなシリーズなのである。若だんなが自立して病弱でなくなったときがこのシリーズの終わりだろうと思うと寂しいが、それでも次が楽しみなシリーズである。

2007年02月12日

●あかんべえ(下)


 出来たばかりの料亭「ふね屋」に迷う5人の亡者たちは、30年前の事件と関わりがあった。彼らは無事成仏できるのか、しかし「ふね屋」にも複雑な人間関係が絡んでくるのだった。
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 読み終わってみて、個人的に好きな宮部みゆきの時代小説のポイント(視点の暖かさ、それによる心地よさ)は押さえているし、語りが上手なのですぐに読めてしまう面白さがあると思った。
 しかし、かつて「ふね屋」があった場所とその近辺で起こった30年前の事件について、宮部みゆきの暖かな筆致というオブラートにくるまれて大して掘り下げもなされずにいることが非常に気になった。30年前の事件の首謀者は救いようのない人物だろうな、とは読んでいて思うのだが、あまり掘り下げて書かれていないために(30年前にこういうことをした、とは断片的に書かれているが)「よくわからないけれどとても邪悪な何か」になってしまっているし、「ふね屋」にいる5人の亡者たちが生きていたころにもあったはずの生臭い側面も端折られているので、「おりんを見守る優しい5人の善人」というふうになっているように思う。
 宮部みゆきが書きたかったことは優しい視点のミステリ時代小説なのかもしれないし、これはこういうファンタジー小説だと言われれば、ああそうかなあ、と思うしかないのだが、私には物足りないし、片手落ちのように感じる。
 物足りない、とは言っても、語りが上手なのでさくさく読めるし、おりんと亡者たちとの軽妙なやりとりは上手でさすがだと思うし、「ふね屋」の人間関係(ふね屋に手伝いにきているおつたはふね屋主人の太一郎が好きで・・・というあたり)も過剰にどろどろになりすぎずに上手にまとめているし、読後感も爽やかだし、ある水準は超えた良作だと思う。

2007年01月27日

●あかんべえ(上)


 深川に料理屋を営むことになったふね屋では、幽霊があらわれると評判で、災難続きだった。ただ一人ふね屋の幽霊が見える12歳の少女おりんは、なぜ彼らは幽霊となっているのか、原因を調べようとするのだった。
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 お正月にずらっと上下巻が平積みにされているのを本屋で見かけ、買わないとなあと思っていたのだが、最近やっと購入した。思っていたよりも一冊が薄いように思う。これなら上下巻ではなく一冊にまとめてくれたほうが読者にとっては嬉しいのではと思うのだが、それほど本というものは売れてないのかなと邪推してしまった。
 宮部みゆきの時代小説、ということで人情味あふれる暖かな筆致、江戸に生きる人々への優しい視線など、いつもの時代小説だ、という感じで期待を裏切らない小説になっていると思う。
 ふね屋に登場する幽霊たちも人情味あふれる筆致によって恐ろしいものではなく、こちらも思わず会話したくなるような人物に描かれていて、彼ら幽霊たちに何が起こったのか知りたくて、ひきこまれるように読んでしまったので結構すぐに読み終わってしまった(なので上下巻でなく一冊にしてほしかった)。
 毎回思うことであるが、宮部みゆきの小説に登場するちびっ子たち(特に作中で重要な役割を与えられている子たち)は非常に品行方正でいい子だなと思う(この作品にはちょっとヒネた子もでてくるが、それでも根はいい子である)。むしろいい子すぎるのではないかと思って読んでいるが、こういうものなのかな、とも思っている。
 ふね屋にいる幽霊たちに何があったのか、そしてどうなるのか、は下巻に持ち越しである。すぐに読めてしまいそうな気もするが、楽しんで読もうと思う。

2007年01月21日

●ピーチコブラーは嘘をつく


 ハンナの共同経営者、リサの結婚式が行われようとしていたため、レイク・エデンは浮き立っていた。ハンナもそのはずだったが、ハンナの店の向かいに新しい焼き菓子のお店が出店されたため、店は閑古鳥で落ち込んでいた。ドロレスの計らいで向かいのお店とピーチコブラー対決をすることになったが・・・。
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 お菓子探偵ハンナのシリーズ第7弾である。
 前巻で去ったはずの恋敵、ショーナ・リーがレイク・エデンに戻ってくるというところから始まるが、まさかショーナが被害者になる(ハンナのお菓子こそ食べてはいないが)とは思っていなかったので、いい意味で裏切られた。推理ものではなくてハンナ周辺の物語として考えると、恋敵のショーナが死ぬのは少々安直ではないのかと思うが、過度にどろどろにならないところがこのシリーズのいいところでもあるし、まあいいのでは、と思う。
 妹アンドリアと母親ドロレスとのやりとりも相変わらず楽しめるが、前巻でうさんくさいと思っていた母親の恋人ウィンスロップはやはりうさんくさかったが、今巻の事件とのつながりと絡めてあったので、大変楽しく読めた。
 今巻の最後では、ハンナが最も望んでいたことが叶うのだが、次巻ではどうなるのだろう、と思って目が離せない。今年のいつごろに出版されるのかは分からないが、早く出てほしいものである。
 しかし、毎回このシリーズを読んでいつも思うことは、お話は確かに面白くて楽しいのだが脱字がかなり多いことである。ヴィレッジ・ブックス全てがそうなのかどうなのかは分からないが、もう少し校正をきちんとしてほしいと思う。

2007年01月11日

●シュガークッキーが凍えている


 ハンナが出版する料理本の大試食会が開催されることもあってか、レイク・エデンの町はクリスマスで浮き立っていた。だが、試食会の途中で母親ドロレスの貸してくれたケーキナイフが盗まれてしまった。慌ててナイフを探し回ったハンナが見つけたものは、またもや死体だった・・・。
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 お菓子探偵ハンナのシリーズ第6弾である。今回もハンナは死体を発見し、被害者はハンナ手製のクッキー(シュガークッキー)を食べて死亡していた。お約束であるが、今巻はクリスマスのボーナストラックということで、本編も短め、試食会が行われた日はブリザードだったため、舞台もコミュニティ・センター限定という狭い範囲である。
 本編のミステリー自体は、クリスマスという特別な日が影響してか「事件」という扱いにはならないし、犯人も予想できる範囲なのだが、そういう事件の背後で恋人候補マイクを巡るライバルであるショーナがレイク・エデンを出て行ってハンナを安心させたり、母親ドロレスの恋人がどうもうさんくさかったり、妹アンドリアが出産したり、色々と動いているのがとても面白い。
 また、特筆すべきは前巻と今巻でハンナが執筆していた「レイク・エデン料理集」が丸々掲載されていることで、読むだけで何かしら食べたくなってくる。前菜・主菜・デザート・飲み物など一通りの食べ物がこれでもかと載っており、アメリカ(ミネソタ)の家庭料理はこういう感じなのかあ、と思えて楽しいし、それぞれのレシピに添えられているハンナの一言も読んで楽しい。さらにこの料理集には「ナマズ釣りのえさ」のレシピまで載っており、本編と同様に楽しい料理集となっている。
 ハンナの恋人候補は二人いる(セクシーなマイクと癒し系のノーマン)が、ハンナは二人と上手につきあってどちらかを恋人に選ぶことは避けており、私はやきもきしているのだが、次の巻ではそのあたりに動きがありそうである。次も楽しみにして読もうと思う。